今治・丹下健三建築めぐり
愛媛県今治市は建築がアツい!
市役所・公会堂・市民会館・愛媛信用金庫
戦後日本を代表する世界的な建築家、丹下健三。父親の故郷でもあった今治で、小学校・旧制中学校時代を過ごした縁で、市内には今も数多くの「丹下建築」が残っています。全て、シクロの家から歩いてまわれる場所にあるので、ちょっと散歩におすすめですよ!今治ラヂウム温泉やはーばりー、眞鍋造機本社、亀老山展望台など丹下健三以外の建築家の作品や歴史的建造物も紹介しています。
最新の情報は各公式ホームページ等を必ずご確認ください。
作成:2017.1.8
最終更新: 2023.1.15
しまなみの拠点「シクロの家」
シクロの家は、2009年からしまなみ海道で自転車旅行をテーマに地域づくりを進めてきた仲間が集まってできた旅の宿です。
ガイドツアーやサイクリング環境の整備、地図やガイドブックづくりを進める傍ら、夢として描いていた「しまなみ旅の拠点」づくり。今治での滞在・交流を通して、造船とタオルの町、そしてしまなみ海道のファンになっていただけるよう旅人をお迎えしています。
今治に残る丹下健三の建築
「建築を勉強していて…それで今治に来たんです」建築や設計を学ぶ多くの学生さんが訪れる町、今治。世界的な建築家・丹下健三とも縁深く、市内には7つの丹下建築が残ります。隈研吾、伊東豊雄、原広司、谷尻誠など、今、最前線で活躍する有名建築家の手掛けた作品も。「建築」をテーマに今治探訪はいかがでしょう。
丹下 健三 Kenzo Tange (1913~2005)
大阪市堺市生まれ。戦後日本を代表する世界的な建築家。今治市は父親の故郷であり、小学校・旧制中学校時代を過ごした縁もあって数多くの「丹下建築」が建てられた。おもな建築物に、広島平和記念公園、香川県庁舎、代々木第一体育館、東京都庁舎など。
今治市庁舎本館
1958年(昭和33年)に竣工された今治市庁舎本館。同じ敷地内にある市庁舎別館、公会堂、市民会館も丹下健三による設計です。今治港から広小路、国道317号、今治駅を結ぶ要所に密集して建てられたこれらの施設群は、まさに今治の中心となっています。
建物の設計だけでなく、今治の都市全体としてのデザインもイメージして、都市設計も研究していた丹下健三らしい配置となっているそうです。現在、駐車場になっている場所は、設計当初、市民の憩いの場をイメージした広場となっており、その目の前の交差点はロータリーでした。大通り・広小路との配置で今治港からのつながりをイメージしていたようです。
今治市庁舎本館 | |
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住所 | 愛媛県市別宮町1丁目4−1 |
電話番号 | 0898-32-5200 |
営業時間 | 8:30~17:15 |
今治市庁舎別館
本館と同じ敷地内にある今治市庁舎別館は2つのビルディングからなり、10階建ての第1別館は1972年(昭和47年)、13階建ての第2別館は1994年(平成6年)の竣工です。60年近く前に建てられた本館や公会堂と比べると、全く近代的なデザインや造形になっています。本館のすぐ横にあるため、違う年代の丹下健三建築を比較して楽しむことができます。
第2別館の最上階には、一般の方も利用できる食堂が入っていて、ランチタイムにはかなりリーズナブルな定食などをいただけます。周辺には高い建物が無いため、ここからの眺望も素敵です。来島海峡大橋なども見渡すことができます。
今治市庁舎別館 | |
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住所 | 愛媛県市別宮町1丁目4−1 |
電話番号 | 0898-32-5200 |
営業時間 | 8:30~17:15 |
今治市公会堂
「今治市公会堂」は2011年に取り壊しか、保存かで論争が起きた鉄筋コンクリート造りのホール。保存を求める声が各所からあがったことで外観をそのままに大規模な改修工事が行われました。斜めにギザギザとした側面が印象的で、夜になるとこの部分がカラフルにライトアップされて、なかなかキレイです。市庁舎本館と同じく丹下健三1958年の作品です。
現在も音楽などのコンサート、演劇、式典などに頻繁に利用されています。2019年には、愛媛県繊維染色工業組合のImabari Color Show2019で、建築家・デザイナーのエマニュエル・ムホー氏が1000色の布を使い、客席を「1000色の波」として彩る作品を展示し、話題となりました。
今治市公会堂 | |
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住所 | 愛媛県市別宮町1丁目4−1 |
電話番号 | 0898-32-5200 |
使用可能時間 | 8:30~22:00 |
今治市民会館
市庁舎本館を正面に見て左側にある市民会館。丹下健三建築らしいコンクリートの打ちっぱなしなのに、どこか和を感じさせる大きくせり出した屋根と、2・3階部分の阿弥陀くじ状のガラス窓枠が特徴的。本館や公会堂と同じく、ル・コルビュジエ建築からの影響を感じさせます。1965年(昭和40年)の竣工。
大会議室1室、中会議室2室、小会議室2室があり、会議や研修等に利用されているほか、今治ホホホ座によるイベント「ぼくらの市民会館」が開催されるなど市民の憩いの場ともなっています。2022年には、しまなみ海道のレンタサイクルを運営する日本版DMO「しまなみジャパン」の本社が尾道から今治市民会館内に移転しました。
今治市民会館 | |
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住所 | 愛媛県市別宮町1丁目4−1 |
電話番号 | 0898-36-1610 |
営業時間 | 8:30~17:15 |
愛媛信用金庫 今治支店
愛媛信用金庫の今治支店の建物は、「甍(いらか)の波」に浮かぶ船をイメージして設計されたという1960年(昭和35年)竣工の丹下健三建築です。今は周囲にビルが並んでおり、ひっそりと佇んでいるこの建物。建設された当時は、瓦屋根の家々の中の一際目立つ建造物だったのでしょうか。旧今治信用金庫本店。
愛媛信用金庫今治支店 | |
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住所 | 愛媛県今治市常盤町4丁目1-15 |
電話番号 | 0898-32-4510 |
営業時間 | 9:00~15:00 |
愛媛信用金庫 常盤町支店
愛媛信用金庫のもうひとつの支店「常盤町支店」の建物も丹下健三の建築です。こちらもコンクリートの打ちっぱなしの直方体の建物に、阿弥陀くじ状のガラス窓枠。ほかの丹下健三による建築物と異なり、角丸の造形が使われています。枠が青色なのは、後に愛媛信金のイメージカラーで塗り替えられたためだそうで、オリジナルではないようです。営業時間外だとシャッターが閉まっていることが多いです。1967年(昭和42年)竣工。旧今治信用金庫常盤町支店。
愛媛信用金庫 常盤町支店 | |
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住所 | 愛媛県今治市常盤町6丁目6-8 |
電話番号 | 0898-23-3819 |
営業時間 | 9:00~15:00 |
地場産業振興センター
今治国際ホテルの裏手の道を挟んだところにある今治地域地場産業振興センターは1985年(昭和60年)竣工。73歳となった丹下健三が基本設計を行っています。中央にある円筒形のホールと両サイドの四角いビルの配置が特徴的です。
今治地域地場産業振興センター | |
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住所 | 愛媛県今治市旭町2丁目3-5 |
電話番号 | 0898-32-3337 |
営業時間 | 9:00~18:00 |
今治・丹下建築マップ
その他の今治の建築物
いまばり散策マップ建築編
※以下は丹下健三建築ではありません
このほかにも、今治市街やしまなみ海道の島々には、一見の価値のある建築物がたくさんあります。そのなかでも、今治やしまなみ海道へ旅に来て、ぜひ見ていただきたい建築をシクロの家のスタッフが勝手にピックアップしてみました。建築に興味がある方は、ぜひ今治へお越しください。
伊東豊雄建築ミュージアム
しまなみ海道の大三島の絶景スポットにもなっている「今治市伊東豊雄建築ミュージアム」は、世界的に注目されている建築家・伊東豊雄さん設計の「スティールハット」と「シルバーハット」という2つの建築物からなるミュージアム。市内からのアクセスは、今治港~大三島・宗方港へのフェリーが便利です。
敷地内には、しまなみ海道に点在する人型のサイクルスタンド「6人のシクロ・ツーリスト」の一体、「MR. Omishima」も設置されており、しまなみ海道サイクリングのフォトスポットとなっています。このサイクルスタンドコンテストの審査委員長は、伊東豊雄氏でした。
今治市伊東豊雄建築ミュージアム | |
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住所 | 愛媛県今治市大三島町浦戸2418 |
電話番号 | 0897747220 |
営業時間 | 9:00~17:00 月曜定休 |
今治ラヂウム温泉
※現在、休業閉館中です。館内が公開されるイベントなどが不定期で開催されています。
戦時中の空襲で市街地のほぼ全てが焼け野原となった今治で、奇跡的に戦火を免れた戦前の貴重な建築物なのです。郷土防衛隊本部が置かれていたにも関わらず燃え残ったのは、米軍が教会だと思ったからだとも、当時珍しかった鉄筋コンクリート製の建物だったからだとも言われています。2016年登録有形文化財指定。
今治ラヂウム温泉 | |
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住所 | 愛媛県今治市共栄4町丁目2-9 |
電話番号 | – |
営業時間 | 現在、閉館中(外観は道路から見ることができます) |
みなと交流センター
今治港でひときわ目立つ黒色の巨大船のような建築物、今治港 みなと交流センター。今治港の再開発で、従来の港湾ビルに代わる交流施設で、愛称は「はーばりー」。京都駅や札幌ドーム、梅田スカイビルなどの設計で知られる建築家・原広司らのグループによってデザイン・設計されています。
船の切符売り場や待合室のほか、今治港からの船の出入港を管理する今治市の港湾関係の課や今治地方観光協会、地域のFMラジオ局「FMラヂオバリバリ」などが入っており、コーヒースタンドや屋上レストランもあります。多目的ホールでは、音楽ライブイベントや展示会なども定期的に開催されています。
今治港 みなと交流センター「はーばりー」 | |
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住所 | 愛媛県今治市片原町1丁目1-27 |
電話番号 | 0898-36-1545 |
営業時間 | 9:00~17:00 |
眞鍋造機本社ビル
※内部は基本的に一般公開されている施設ではありません。
波止浜駅に向かう途中の道沿いに突然現れるオシャレなオフィス。幾層にも重なったレイヤーが特徴的なこの建物は四国建築賞・大賞受賞。尾道の複合施設「ONOMICHI U2」の設計でも知られる若手建築家、谷尻誠の手がけた建物です。
眞鍋造機(株)本社オフィスビル | |
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住所 | 愛媛県今治市高部633 |
電話番号 | 0898-41-9217 |
営業時間 | – |
亀老山展望公園
しまなみ海道、今治からひとつめの島、大島にある亀老山。その山頂の公園が、来島海峡大橋や多島美が一望でき、夕景のスポットとしても有名なしまなみ海道屈指の展望名所となっています。
実は新国立競技場の設計を手掛けた建築家・隈研吾による展望台です。展望台自体が地面に埋まっているような構造で、自然景観を損なわない独創的なデザインが施されています。
亀老山展望公園 | |
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住所 | 愛媛県今治市吉海町南浦487番地4 |
電話番号 | 0897-84-2111 |
営業時間 | 24時間 |
日本食研KO宮殿工場
調味料の製造販売を行っている日本食研ホールディングス(株)。牛のキャラクター「バンコちゃん」のCMでも全国的に知られる焼き肉のタレのほか、家庭用・業務用と幅広く調味料全般を扱っている愛媛県今治市に本社がある企業です。
本社工場は富田新港の海近くに、オーストリアの「ヴェルベデーレ宮殿」をモチーフにして建築されています。その総工費は85億円とも。実物のウィーンにあるバロック建築の宮殿と瓜二つで内装ともに豪華絢爛。世界の食文化を広く伝える手段として宮殿型の工場を建設したそうです。
庭園は無料で見学できるほか、工場の生産ラインや世界中の食文化に触れることができるブースなど、工場内部は見学ツアーも実施されています(要予約)。また、2020年には今治新都市エリアに、同じくウィーンの宮殿を模した「シェーンブルン宮殿工場」ができました。
日本食研(株)KO宮殿工場 | |
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住所 | 愛媛県今治市富田新港1丁目3 |
電話番号 | 0898-33-2011 |
営業時間 | 9:00~17:00 |
今治建築めぐりマップ
※地図上の赤ポイントが「丹下健三建築」 オレンジ色のポイントは、以下の「その他の建築物」を示しています。