【特集】瀬戸内海5海道サイクリング
しまなみ海道だけじゃない!広域に自転車旅行へ
とびしま海道・ゆめしま海道・はまかぜ海道?!
瀬戸内海にはサイクリストの聖地・しまなみ海道をはじめ、風光明媚なサイクリングスポットが目白押し。裏しまなみとも呼ばれる「安芸灘とびしま海道」や4つの小さな島々を結ぶ「ゆめしま海道」、今治から松山道後温泉へとつなぐ「はまかぜ海道」、とびしま海道としまなみ海道を結ぶ「さざなみ海道」などなど。瀬戸内の船の行き来する風景や多島美を眺めながら、島の暮らしを感じ、のんびりポタリング(自転車散歩)を楽しんでみませんか?
最新の情報は各公式ホームページ等を必ずご確認ください。
作成:2015.11.6
最終更新: 2024.7.31
作成・文:村上雅之
瀬戸内海をサイクリング
しまなみ海道だけじゃない?!
シクロの家のある愛媛県今治市の周辺には、芸予諸島の島々を結ぶ数々のサイクリングルートがあります。
瀬戸内トライアングル
最も整備が進んでいるのは、世界的なサイクリングルートとしても知られる「しまなみ海道」。その東側には、小さな島々を結ぶ「ゆめしま海道」。西側には近年、風光明媚なサイクリングスポットとして注目されている「とびしま海道」があります。広島県側の呉~尾道ルートである「さざなみ海道」は、しまなみ海道ととびしま海道を結び、「瀬戸内トライアングル」と呼ばれる三角形コースを形成しています。
※「いしづちルート」と「ぬまくまルート」は私が便宜上、つけている仮称です。
また、愛媛県側では「愛媛マルゴト自転車道」として県全体でサイクリングルートの整備が進められており、特に今治~松山の海岸線ルートを「はまかぜ海道」と名付け、ブルーラインやサイクルオアシスなどが設置されています。香川県方面へと抜ける「いしづちルート」は、石鎚山のある四国山地沿いに遍路道でもある讃岐街道を抜け、「四国一周サイクリング」の北側ルートとして整備されています。それでは一つ一つのルート情報をご紹介していきます。
瀬戸内5海道
瀬戸内しまなみ海道
愛媛県今治市‐広島県尾道市 しまなみ海道は、広島県尾道~愛媛県今治間、瀬戸内海に浮かぶ島々をつむいで四国と本州を連絡する道路で、国の指定する「ナショナルサイクルルート」のひとつです。それぞれの橋には自転車・歩行者専用道が併設。メインルートや外周ルート上にはブルーラインの道標が整備され、県をまたいで相互に乗り捨て可能なレンタサイクル、トイレの利用などができる休憩所「サイクルオアシス」、パンクなどの自転車トラブルに対応した「島走レスキュー」などのサービスも充実しており、初心者でも自転車旅行しやすいルートです。
レンタサイクルを借りて今治~尾道間の80kmを観光しながら縦断する場合、スポーツ自転車に乗るのが初めてという方は1泊2日以上で縦断するのが一般的です。メインルート以外にもコースにバリエーションがあるので、地図などで距離や難易度を確かめながら計画するのがおすすめ。
安芸灘とびしま海道
愛媛県今治市 岡村島‐広島県呉市 しまなみ海道の西には、7つの島を7つの橋で結ぶ「安芸灘とびしま海道」がのびており、近年サイクリストの注目を集めています。とびしま海道、岡村島~呉・安芸灘大橋入り口までは最短ルートで約30kmの道のり。とびしま海道の一番端に位置する岡村島までは、今治港からフェリーで渡ります。かつては、中~上級者向けと言われたとびしま海道サイクリングも、ここ数年で自転車積載可能な船の航路が充実し、ゲストハウスが誕生、本格的なレンタサイクルサービスも開始されるなど、初めてでもチャレンジできる環境が整いつつあります。海岸線ぎりぎりを走るルートで、防波堤も低めなので海を身近に感じながらのサイクリングがとびしま海道の醍醐味。御手洗地区の歴史的な町なみなど見どころも点在し、のどかな風景を楽しめます。
とびしま海道のレンタサイクルは事前予約制。しまなみ海道の公共レンタサイクルを利用する方もいますが、この場合とびしま海道はエリア外となるため、途中での乗捨ては不可。今治を拠点に往復する場合には、フェリーの時刻に注意が必要です。
今治~松山はまかぜ海道
愛媛県今治市‐愛媛県松山市 高縄半島を縦断しながら今治と松山を結ぶ「たかなわロード」の海側ルートは「はまかぜ海道」と呼ばれ、約50kmの道のり。国道196号線がメインルートとなる文字通り浜風の気持ちよい道です。しまなみ海道を走ってシクロの家に一泊。翌日にこの「はまかぜ海道」で松山・道後温泉を目指すサイクリストが多いです。沿線には、愛媛県最北端、朝陽も夕陽も見える風光明媚な岬「大角鼻(おおすみのはな)」や野生の鹿の生息する「鹿島」、瓦造りで有名な「菊間」、花崗岩の巨石群「白石の鼻」、ドラマ『東京ラブストーリー』の有名な最終回のロケ地となった「梅津寺駅」など見どころもたくさんあり、平坦ながら走りがいのあるルートです。
はまかぜ海道には乗捨て可能なレンタサイクルのサービスがありません。今治や松山でレンタサイクルを借りた場合には、戻ってきて返却する必要があります。時期によっては、今治駅~松山駅間で自転車をそのまま積載できる「サイクルトレインしまなみ号」が運行されていることがあります。
上島町ゆめしま海道
愛媛県越智郡上島町 弓削島、佐島、生名島、岩城島と上島町の島々を結ぶ海道、「ゆめしま海道」。上島町の島々を結ぶ小柄な橋は、まるでしまなみ海道のミニチュア版。因島の土生港や家老渡港からすぐそこに見えている対岸へと数分のフェリー旅でたどり着くことができます。ゆめしま海道にもブルーラインの案内が整備されているので気軽に旅ができます。弓削島からの広大な海の景色や法王ヶ原の松原を楽しんだ後は、佐島Uターンコースや生名島一周コースへ。弓削島や佐島にあるゲストハウスに滞在してみるのもいいかもしれません。小さな島の暮らしを感じてみてはいかがでしょう。
ゆめしま海道の島々では、しまなみ海道の公共レンタサイクルとは別のレンタサイクルのサービスが展開されています。それぞれ相互に乗捨てには対応していない独立のサービスです。しまなみ海道縦断旅行の途中に、ゆめしま海道の島々に寄り道したり、船の航路を活用したりするのがおすすめです。地図は「しまなみ島走MAP」の上島町編をご覧ください。
呉~尾道さざなみ海道
広島県呉市‐広島県尾道市 広島県尾道市~呉市にかけての国道185号線と国道2号線他からなる「さざなみ海道」。比較的交通量も多く、起伏のある道のりも含んでおり、どちらかといえば自転車に乗り慣れた人向けのコースといえるかもしれません。とはいえ歴史ある港町 呉をはじめ、じゃがいもと赤土の安芸津、安芸の小京都竹原、タコのまち三原、映画と坂の町尾道と、個性ある街々をつなぐルートはとても魅力的。養殖カキのが浮かぶ独特な海岸風景や沖合のとびしま海道の島影を眺めながらのサイクリングができます。
さざなみ海道には独立したレンタサイクルが無いので、貸し自転車で旅をする場合には、しまなみ海道の公共レンタサイクルやとびしま海道のレンタサイクルを活用することが必要となります。これらのレンタサイクルは相互に乗捨てができないため、返却場所へと戻る計画を立てましょう。しまなみ海道やとびしま海道の島々を結ぶフェリー航路を活用するとショートカットや小さな周回コースを設定できます。
さらに広域にサイクリング
いしづち(讃岐街道)
愛媛県今治市‐香川県観音寺市 いしづちルートは、西日本最高峰「石鎚山」有する四国山地の北壁に沿って、瀬戸内海の燧灘沿いに愛媛~香川を抜けるルート。湧き水の町・西条市や、かつて世界一の銅山だった別子銅山の新居浜市、日本有数の製紙工場群のある四国中央市など、四国の産業の豊かさを感じる旅ができます。四国88カ所の遍路道や、香川県琴平市のこんぴらさん(金刀比羅宮)への参拝道でもある讃岐街道に沿っているため、随所に歴史を感じることができるスポットを巡るのも楽しいかもしれません。このルート沿いにもサイクルオアシスが整備されています。幹線道路は交通量が多く狭い道は走りにくいので、国道196号や国道11号と平行した、いわゆる裏道には地元のサイクリストも多いです。
いしづちルートのルート上には、しまなみ海道と同じデザインの道しるべ「ブルーライン」が引かれているところがあります。しかし、これらのブルーラインは、「愛媛マルゴト自転車道」で指定されている「今治・西条ゆうゆう輪道」や「別子・翠波はな街道」といった周回ルートに引かれているので注意が必要です。道路に描かれた「四国一周」のピクトグラムや四国遍路の標識を辿りながら走る方法もあります。
ぬまくま(沼隈半島)
広島県尾道市‐広島県福山市 広島県福山市の南に位置する沼隈半島は、ノスタルジックな港町の風景が有名な観光地・鞆の浦や、内海大橋で渡る田島・横島のアイランドトリップも人気のサイクリングルートです。沼隈半島の外周ルート沿いには、瀬戸内海らしい漁村の風景が残り、阿伏兎観音など立ち寄りスポットも点在。のどかでどこか懐かしい旅に出かけたい人にオススメのコースです。
しまなみ海道の向島・歌港からは沼隈半島の戸崎港へとフェリーが出ているので、尾道市街から陸路で半島へと向かうルートよりショートカットすることができます。福山市内のレンタサイクルは、街乗り向けなので、しまなみ海道の公共レンタサイクルを尾道から借りるのがオススメです。ただし尾道・福山で相互に乗捨てはできないので注意してください。